近江商人の発祥地の一つ、五個荘。
五個荘町も町村合併で今は東近江市になっていますが、この地域から発祥した近江商人は多く、伊藤忠商事、丸紅などを生んでいます。
近江商人のモットーは、「しまつしてきばる」、始末して気張ると書き、倹約して頑張るという意味です。もしくはうまく片付けて頑張るということだそうです。
伊藤忠商事の創業者の伊藤忠兵衛の座右の銘も、「始末して気張る」でした。
さて、そんな近江商人のふるさとを尋ねてみましょう。
五個荘の近江商人博物館です。
残念ながら、訪れたその日は、特別休館日でした。近江商人屋敷との共通券もありますので、訪れることをお奨めします。
こちらは藤井彦四郎邸の駐車場です。屋敷に隣接していますので、いったん外に出て入場することになります。見えている木々は、藤井彦四郎邸の庭園の一部です。
藤井彦四郎邸の入り口です。
五個荘には、内部を公開している近江商人の屋敷が近くにいくつかありますが、他三邸との共通券もありますので、必要な方は共通券をお求め下さい。どの屋敷でも購入できます。
藤井彦四郎は、近江商人の三代目藤井善助の次男として北五個荘村で生まれましたが、村一番のガキ大将だったと言う事です。
高校中退で丁稚奉公をしたのち、父の家業に精進します。
その後、分家して一代で財をなします。藤井彦四郎は人造絹糸と呼ばれる、海外新聞で当時登場したばかりで、まだ品質に難のあるレーヨンの将来性に注目しました。
販路を開拓して、次第に軸足を輸入販売から、製造販売に移し、「スキー毛糸」のブランドで大成功を納めました。レーヨンのパイオニアの一人です。「鳳凰印の小町糸」でも有名でした。
この藤井彦四郎邸は、昭和9年に建築した迎賓館が保存され、公開されているのです。
うーん、迎賓館って、本宅とは別に迎賓館を持っていたのだと、ちょっとしたカルチャーショックです。まあ、本宅と別荘と言うのは、理解の範疇ですが、お客さまのために迎賓館を建てるんですね。
しかし、先見の明があると言うのは、こういうことですね。近江商人の「しまつしてきばる」も、過去に捕らわれないで、もしくは折り合いをつけて頑張るという意味にも聞こえます。
現代でもインターネットなどにいち早く軸足を移して、大きな企業がたくさん生まれたり、多くの創業者が大成功を収めていますが、何時の時代も時代の動きにこそチャンスがあるとも言えるわけで、近江商人の話も古い商人の昔話ではないことがよく分かります。
敷地面積8,155平方メートルの中に、主屋、客殿、洋館、土蔵が立ち並んでいます。
琵琶湖を模した池泉回遊式の庭園もあり、迎賓館として、これを作ったのだと、やはりちょっと気が遠くなりますね。
訪れた時は、お雛さまの公開期間で、京都老舗人形店「丸平」「大木平蔵」作のお雛様をたくさん見ることができました。
このようにいくつもの部屋を使ってお雛様の展示をしていましたが、いつでもお雛様は見ることは出来るようです。
客殿、本屋、洋館と続きますが、訪れた時は、客殿にお雛様が飾ってありました。
客殿から庭に出ることが出来るように履き物が用意されていますので、散策することも出来ます。
もちろん、大きな庭ですので、散策しないと全容は分かりません。
それにしても大きな石です。
ものすごく大きな琵琶湖を模した池泉回遊式の庭園を鑑賞することも出来ます。こちらは、琵琶湖を模した池です。
池泉回遊式の庭園ですから、琵琶湖を模した池の周りをぐるりと散策することが出来ます。向こうに見えている建物は洋館です。
こちらは、格天井(ごうてんじょう)というものです。格天井は最も格式が高い天井様式で書院造り、寺院建築などに用いられてるものなのだそうです。
こちらはお客さま用のトイレです。
茶室風の構造で、踏み板は竹で、天井や戸は網代に編んだものになっています。大は2室で、水洗、扉はスライド式、小も水洗(昭和9年の段階で)で、手水鉢には蛙が画かれています。
もちろん展示物ですので、使ってはいけませんよ。
こちらが洋館です。色々なものが展示してあります。
この迎賓館は、洋風でも、和風でもお客さまの好みによって使えると言うことですね。藤井彦四郎は海外視察も盛んに行っていたと言う事ですので、欧米人の客が多かったという事情もあるのでしょう。
もっと古い形式の蓄音機にも見えますが、こちらはオルゴールかも知れません。
こちらは確実にオルゴールですね。シートを取り替えることにより色々な曲が演奏できます。
こちらは、古い商店の復元展示です。時代劇などによく出てくる形式ですね。
こちらは女中部屋ですね。庭にも色々な展示物が所狭しと並んでいますね。
興味深いものが数多くありますが、きりがないので紹介はこのぐらいにします。
五個荘の観光案内
近江商人から生まれた企業は、伊藤忠、丸紅、高島屋、トーメン、ヤンマーディーゼル、西武グループと多岐に渡ります。
近江商人を語る言葉に、「しまつしてきばる」がありますが、また、「三方よし」もあります。これは売り手良し、買い手良し、世間良しです。
これはもちろん、売り手に良いことであるか、そして、買い手にも良いことであるか、また、世の中に対して良いことであるかと言う事です。
買い手の立場にも立ち、そして、世の中や時代も見据えて商いをするということが、近江商人を生んだのだと思います。
また、この五個荘は、寺子屋が盛んで、女子の就学もトップレベル、この教育の熱心さが琵琶湖のほとりの農村を近江商人の発祥地の大きなひとつにしたのでしょう。
近江商人屋敷 藤井彦四郎邸
〒529-1404 東近江市宮荘町681 → 地図
TEL 0748-48-2602 IP電話 050-5801-2602
大人300円 小人100円
外村繁邸
〒529-1405 東近江市五個荘金堂町631 → 地図
TEL 0748-48-5676 IP電話 0505-801-5676
外村宇兵衛邸
〒529-1405 東近江市五個荘金堂町645 → 地図
TEL 0748-48-5557 IP電話 0505-801-5557
中江準五郎邸
〒529-1405 東近江市五個荘金堂町643 → 地図
TEL 0748-48-3399 IP電話 0505-801-3399
以上、近江商人屋敷(外村繁邸・外村宇兵衛邸・中江準五郎邸)の3館共通券
大人600円 小人300円
近江商人博物館
〒529-1421 東近江市五個荘竜田町583番地 → 地図 → HP
TEL 0748-48-7101 IP電話 050-5802-3134
大人300円 小中人150円
以上、5館共通券 ; 近江商人博物館、五個荘近江商人屋敷(外村繁邸、外村宇兵衛邸、中江準五郎邸、藤井彦四郎邸)
大人900円
宿泊
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永源寺温泉 八風の湯 宿「八風別館」、 アズイン東近江能登川駅前、 八日市ロイヤルホテル、 ベストイン八日市
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